眼を閉じて母を偲べば幼な日の 懐(いと)し面影消ゆる時なし
音もなく我より去りしものなれど 書きて偲びぬ明日という字を
おののきも悲しみもなし絞首台 母の笑顔をいだきてゆかむ
「きけわだつみのこえ」収録 宋 左近 : 著 : 「詩(うた)のささげもの」 : 新潮社