ねむりのもりのはなし
いまはむかし あるところに あべこべの くにががあったんだ
はれたひは どしゃぶりで あめのひは からりとはれはれていた
そらには きのねっこ つちのなかに ほし
とおくは とってもちかくって ちかくが とってもとおかった
うつくしいものが みにくい みにくいものが うつくしい
わらうときには おこるんだ おこるときには わらうんだ
みるときには めをつぶる めをあけても なにもみえない
あたまは じめんにくっつけて あしで かんがえなくちゃいけない
きのない もりでは はねをなくした てんしを
てんしをなくした はねが さがしていた
はなが さけんでいた ひとは だまっていた
ことばに いみがなかった いみには ことばがなかった
つよいのは もろい もろいのが つよい
ただしいは まちがっていて まちがいが ただしかった
うそが ほんとのことで ほんとのことが うそだった
あべこべの くにがあったんだ いまはむかし あるところに
長田 弘:著:「心の中にもっている問題--詩人の父から子供たちへの45篇の詩」 : 昌文社
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